日本人はまじめで優しい国民性ですが、動物との関係性については発展途上だと感じることがありますよね。
ドイツなど一部の国では、犬と一緒に電車に乗れたり、公共施設を利用できると聞くと、日本はまだまだだと思ってしまいます。
けれど最近読んだ本から、実は動物先進国だからといって殺処分の問題が解決されているわけではなく、日本と同じような問題を抱えているということを知りました。
また、日本でも企業や地方自治体が、動物福祉のためにけっこう力をいれているようでした。
この記事では、日本がもっと動物とうまく付き合っていくために、私が感じた問題点や考えさせられたことを、子どもの小学校で飼われているうさぎを例に挙げてつづっています。
私も本に刺激され、ささやかですが動物福祉のための小さな一歩をはじめました。
私が読んだのは「世界動物福祉訪問記」(西川ふさい)という本です。
内容についてはあまり触れていないので、ぜひ実際に読んでいただければと思います。
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動物愛護と動物福祉の違い
最近、「動物福祉」という言葉をよく聞くようになりましたが、少し前は「動物愛護」の方がよく聞く言葉でしたよね。
以前は、なんとなく同じような意味だと思いながら過ごしていたのですが、実際には大きな違いがあります。
「動物愛護」という表現は日本独特のもののようで、海外でも主流は「動物福祉」なのだそうです。
動物愛護とは
「愛護」とは「かわいがって大切に守ること。」 (チャレンジ小学国語辞典より)
動物愛護とは、人が動物に対して「大切にしよう!」と思う気持ちのことです。
日本の動物に関する法律である「動物愛護管理法」でも「愛護」という言葉を使っています。
動物を大切にする気持ちはもちろん大事ですが、人目線の考えになり、感情的な部分もあるので基準を決めたりするには難しい尺度です。
動物福祉とは
「福祉」とは「世の中の幸福。」(チャレンジ小学国語辞典より)
動物福祉とは、動物が幸福に暮らすことです。
動物目線の考えになり、その動物の習性を理解し適正に管理された状態で、科学的根拠をもとに整えることができます。
代表的な基準として「5つの自由」という考え方があります。
- 飢えと渇きからの自由
- 不快からの自由
- 恐怖や抑圧からの自由
- 痛み、傷害、病気からの自由
- 正常な行動を表現する自由
ただ生きるために、最低限の食事とスペースを与えるだけでは動物福祉にはなりません。
その動物はどういう食事の摂り方をして、どのくらいのスペースがあれば快適か、生活は単独か群かなど習性を理解し、長期的なストレスがかからないように、配慮する必要があります。
最近、動物園動物でも重要視されるようになった「環境エンリッチメント」という考え方です。
習性が生かされた生活をしてる動物は、いきいきしていますよね。
動物福祉よりも動物愛護が優先される日本の教育
日本と海外の動物に対する考え方の違いは、学校教育でも影響が出ています。
そもそも動物福祉先進国では、学校で動物を飼うということ自体あまりないようです。
けれど、授業の中で動物の飼い方について勉強したり、動物に対する理解の時間を取っているところもあるようです。
「かわいい」「かわいそう」ではなく、「その動物には何が必要か」「その動物はどういう気持ちか」を重視して教育します。
日本では国自体が「動物愛護」という言葉を使い、学校で動物を飼うことに積極的なので、疑いもなくうさぎやモルモットを飼育している学校がたくさんあります。
国や学校としては「動物を大切にする心を育みたい。」という狙いがあるのだと思います。
けれど、飼育のしかたは学校に任せられているところが多く、動物を飼っていても授業で飼育のしかたを学ぶ機会が必ずあるわけではありません。
実際うちの子どもたちが通う小学校も、うさぎを担当する生徒たちに対し、正しいお世話のしかたを説明する機会もなく、なんとなくで飼われている状態です。
そもそもうさぎを飼っていることすら知らない先生や生徒もたくさんいます。
「費用がない」「人員がいない」という理由で、学校に置かれたまま、体調管理や温度管理をされずに命を落としてしまう子もいました。
動物福祉が守られていないと、動物愛護の気持ちも育たず、動物が好きな人が大切にすればいいというような認識になってしまうようでした。
日本でも動物福祉をがんばっているところはたくさんある!
ちょっと悲しい話をしましたが、日本でも動物福祉に力を入れているところはたくさんあります。
自治体の動物愛護センターがすごい
今までは犬や猫などを収容するところは「保健所」という名前で、殺風景で閉鎖的なイメージがありました。
最近では、「愛護センター」と呼ぶところが多く、子供が楽しめる施設が併設されている複合施設になっているところが増えてきました。
動物と触れ合えたり、学習ができるブースがあり、子供から大人までより関心を持つことができます。
また、収容されている動物に対し、ストレスに配慮した環境を整え、飼い主さんが決まりやすいよう情報を発信するなど、よりきめ細やかになっています。
動物保護団体さんの発信力
以前から動物保護団体さんによる保護活動は、殺処分や動物のトラブルを減らすとても大きな存在でした。
けれど、どこでどんな活動をしているのか知る機会が少なく、どこか遠い世界に感じてしまうところがありました。
保護団体さんもブログやインスタなどで発信するところが増えてきて、活動内容を知ることができるようになりました。
今どんな子がいて、どういう状況か知ることができるので、里親を考えている人も、気になる子がいたら何日もチェックして、迎えられるかをじっくり考えることができます。
実際私も保護団体さんから保護犬を迎えたのですが、ブログで活動を見られるところは大きかったと感じます。
私がはじめた動物福祉の第一歩
1.安すぎる食材は考える
高いからいい環境で育ったとは言えないのですが、安いものにはどこかにしわ寄せがきていると考えなければならないと思いました。
魚の場合、「海のエコラベル」がついているものを意識するようになりました。
「海のエコラベル」とは、魚を過剰にとりすぎないなど海の資源や環境に配慮している漁業でとられたものである証明のマークです。
少し値段が上がることがありますが、SDGSとしても大切なことですし、そういう取り組みを応援したいという気持ちもあります。
私のぷちクラウドファンディングです。
2.野菜の量を増やす
肉類はおいしいのでどうしても余計に食べたくなってしまいます。
「私は雑食性動物なので、野菜多めでいいんだった!」と思い出し、野菜多めの食事を心がけています。
健康にもお財布にもいいことだらけです。
家庭菜園にも挑戦してみました。
ただ、ミニトマトなど収穫量が3つだと家族分に達しないのが残念なところです。
3.ペットたちが適切な環境で飼われているかを考える
我が家には犬のほかに、ミナミヌマエビ、モルモット、マウスの家族がいます。
実は海外では、「モルモットは社会性があるので、複数匹で飼わなければならない」などルールがある国もあります。
我が家のモルモットはもう高齢なので、逆にストレスにならないようこれから増やす予定はありませんが、コミュニケーションをとり、適正温度と食事を心がけたいと思います。
ペットの飼育方法も日々変わっていくので、「自分の知識は古くなってないか」と気にして調べてみるのも勉強になります。
さいごに
近年、動物の展示時間の規制や広さ規制など、少しずつ法律が改正されてきています。
マイクロチップの義務化もスタートしました。
法律により動物たちが正しく管理されることは大切ですが、何より日本人の意識が高まってきた証拠だと思います。
みんなの意識が変わることが、動物福祉の発展にとって一番効果を発揮することだと思います。
私もドッグトレーナーとして、人と犬がより快適になるように、環境や接し方を学んで発信していくことが、私にできる第一歩だと感じました。