ペット動画などで、粗相や物を壊した時、申し訳なさそうに視線を逸らす犬がいますよね。
けれど、「うちの子はへらへらごまかしてる」「注意している時にあくびをしている」と、愛犬が反省する態度を見せないと、イラっとすることもあると思います。
「愛犬にしっかり反省させたい!」「犬が反省している時はどういうしぐさをするの?」と気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、犬に反省してもらうのは難しいことです。
なぜなら、犬には「反省という感情があるかは不明だから」です。
この記事では、犬の学習方法についてお伝えし、犬がしてほしくないことをした時に注意する方法、次にしないようにするための伝え方について解説します。
「犬に反省させよう」ではなく「次同じことを繰り返さないように伝えよう」と解釈を変えることで、しつけのイライラから解放されることがありますよ。
犬には「反省」という感情は難しい
「反省」という言葉を辞典でひいてみました。
自分の行いを振り返り、よかったかどうかなどよく考えること。
引用元:Benesse チャレンジ小学国語辞典 より
犬は「今」のことしか考えることができません。
人のように「過去」を振り返ったり、「未来」を予測することはできません。
そのため、この「振り返り」ができないため、「反省」という感情は難しいのです。
犬に「過去」「未来」がわかるように感じるのは「学習」のため
犬は「学習」によって自分の行動を決めます。
これをしたら注意されたから、やらない。
これをしたらほめられたから、やる。
という風に、経験から自分にとっていいことがあったか、悪いことがあったかを判断します。
そのため、過去が全く思い出せないのではなく、その出来事に何かが条件付けされていれば思い出すことができます。
犬にできないことは、「時間の経ったことを注意されて理解すること」です。
たとえば、飼い主さんが帰宅したら家具がかじられていた時、その時点で注意しても理解することができないのです。
もともと犬にとって家具をかじることは、してはいけないことではなく、ストレス発散になる楽しいことだからです。
犬が反省していると思われている行動
飼い主さんにとって困ったことが起きた時に、
- 申し訳なさそうに顔をそむける
- お腹を出す
など
愛犬が飼い主さんを恐る恐る見るので、反省顔をしてるように感じてしまいます。
これらは「飼い主さんが怒ってるな。まずいな。」という気持ちの表れです。
「この状況で飼い主さんが戻ってきたら、よくないことが起きる。」と学習して恐れているためです。
お腹を出すのは、「お許しください。」の時もあれば、お腹を出したら怒りが納まると学習している時もあります。
その子の性格や様子により、見極めが大切です。
犬が反省していないと思われている行動
愛犬に注意しているにもかかわらず
- あくびをする
- 体を掻く
反省していないように感じる反応ですが、この行動にもしっかり意味があります。
あくびをする、体を掻くのは、ストレスを感じているサインです。
「嫌な時間だな。」と感じていて、自分を落ち着かせようとしています。
飼い主さんが怒っていることは伝わっていますが、なぜ叱られているかは理解できていないこともあるので、短い時間で切り上げます。
犬の表情が反省とは関係がないことを証明した実験
犬の認知行動学者アレクサンドラ・ホロウィッツの研究では「人は犬の感情を誤って解釈する傾向がある。」という結果が出ています。
(「犬が罪悪感を感じるのか」の実験ではなく、「人は犬の罪悪感がわかるのか」の実験です。)
その興味深い研究内容を、簡単に説明させていただきます。
- 犬の前におやつを置き、飼い主は食べないように伝えて部屋を出ます
- 一部の犬はおやつを食べてしまい、一部の犬は飼い主の言う通り食べずに待っていました
- 食べずにいた犬のおやつも研究者が隠し、部屋におやつがない状態にします
- 飼い主は部屋に戻り、おやつがなくなっていることを見つけます
結果
- どの犬も飼い主の様子を見て「罪悪感のような表情」をしました
- 飼い主はおやつがなくなっているのを見て愛犬を叱りました
犬は自分の行動とは関係なく、飼い主さんの様子を見て、上目遣いで飼い主さんを見つめる、震えるなど恐怖表現をしてしまうようです。
そして、飼い主さんはそれを見て、罪悪感を感じていると思い込んでしまうようなのです。
私たち人は、犬と考え方が違うことをうっかり忘れて、つい擬人化してしまうところがあります。
おやつを食べずに待っていた犬、かわいそうです・・・。
愛犬がしてほしくないことをした時の注意のしかた
まず重要なのは、困った行動とは人にとっては迷惑でも、犬にとっては正常な行動であることがほとんどだということです。
留守番中のトイレの失敗は、いたずらではなく、人がいない環境でトイレを成功した経験が少ないためであることが多いです。
家具などの破壊行動も、ストレスが溜まっていたり、エネルギーが有り余っていることが多くの原因です。
愛犬を叱る前に、正しく教えてあげられているか、エネルギーは発散できているか、根本原因である環境を見直してあげることが大切です。
その上で、愛犬を注意する時のポイントがこちらです。
- その行動をした瞬間に注意する
- 注意は短くはっきりと
- 感情的になりすぎない
- 恐怖を与えすぎないように犬の反応を見る
愛犬がしてほしくないことを繰り返さないためにすること
- 環境を整える
- しつけがしっかりできているか見直す
- エネルギーをしっかり発散する
①環境を整える
その行動が起きないように、予め環境を整えておくのが大切です。
たとえば、いつもカーペットで粗相するなら、粗相したら注意するのではなく、粗相されないようにカーペットを撤去するか、入れないように柵で囲うなど予防することができます。
同時に何をしたら正解なのかも教えてあげると、理解が速くなります。
②しつけがしっかりできているか見直す
「おしっこをシーツの上ですることはわかっているはずなのに、サークルの中にいると失敗する。」ということがよくあります。
「留守番させたことの抗議だ!」と解釈されることもありますが、サークルの中からトイレに行った経験が少なくて理解できていない場合もあります。
人にとっては同じに見えるシチュエーションでも、犬にとってはわからないこともあるので、色々なパターンで教えてあげる必要があります。
お留守番の時や粗相などトイレ関係のお悩みのヒントはこちら!
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犬の留守番中のトイレどうしてる?おすすめサークル内レイアウトと対策アイデア
③エネルギーをしっかり発散する
エネルギーの発散が十分にできていないと、犬は人にとってしてほしくないことをしがちです。
物を破壊する→注意される→構ってもらえた→また何か壊す
と負のスパイラルになることもしばしばあります。
飼い主さんと遊ぶ時間、体と頭を動かす時間があると、犬にとって充実した日になります。
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まとめ
犬を飼っていると、つい人と同じように考えていると思い込みがちです。
「わざとだ」「ふざけている」ととらえていると、叱ることが増えてしまいます。
落ち着いて過ごしていたらほめる、してほしことをしていた時はほめることで、犬も自分が何をしてたらいいかを理解してくれるようになります。
注意する時は瞬時に伝え、ほめ上手な飼い主さんを目指しましょう。