犬のしつけによく出てくる「信頼関係」という言葉。
私もこの言葉の意味を理解するのに苦戦しました・・・
どうしても人間同士の信頼関係をイメージしてしまうからです。
さらに犬について勉強していると、以前は「犬にとってのリーダーになる」という上下関係も絡んだような表現が出てきました。
実際私も、
信頼関係とは「心が通じ合っていて、飼い主はリーダーとしてふるまい、犬はリーダーに安心してついていけるような関係。」
そんな風に思っていました。
実は、人と犬との関係に対する考え方が、以前と大きく変わっています。
「しつけがうまくいかない!」と感じている方は、この考え方に原因があるかもしれません。
この記事では、現在の人と犬との関係に対する考え方をまとめています。
そして、私おだんごの考える、犬との「信頼関係」の意味をお伝えしています。
現在の犬との「信頼関係」の意味を知ることで、うまくいかなかったしつけの解決の糸口がみつかるかもしれません。
以前の人と犬との関係は?
冒頭にも書きましたが、以前は「飼い主は犬のリーダーにならなければならない。」という考え方が主流でした。
リーダーになるには
- 「ごはんは人が先に食べる。」
- 「ソファに乗せてはいけない。」
- 「お散歩は犬を前に歩かせてはいけない。」
などのルールがありました。
これらが守れていることが、犬との信頼関係ができている証のようになっていました。
飼い主さんたちは「犬になめられないようにしなければ!」という気持ちになり、守れないと犬を叱っていました。
「飼い主は犬のリーダー」という考えは、犬の祖先がオオカミだったことから広まりました。
群れで生活するオオカミは、リーダーが食べるまで、群れの仲間は獲物を食べないという習性がありました。
この習性が、オオカミの血を引いている犬にもあるだろうと考えられていました。
現在の人と犬との関係は?
最近では、飼い主さんは犬のリーダーになるという上下関係の考え方はありません。
犬社会にも「順位」はありますが、上位の犬が下位の犬を支配するというような、強い関係ではありません。
上位の犬は、群れがうまく成り立つように面倒を見ている役割に近いです。
下位の犬でも嫌なことがあればうなったり、人社会のルールを知らなかったりするだけで、決して「なめられている!」というわけではありません。
さらに、犬がみんなリーダーの座を狙っているわけでもありません。
理想の関係は「上下関係」ではなく「親子関係」です。
犬にとって、安心して過ごせる人と環境が整うことが、信頼関係につながります。
犬に対して小さい子供のように、ごはんなどのお世話をし、マナーを教えます。
トラブルが起きた時は、なぜそうしたのか犬の気持ちを受け止め、伝えるときは分かりやすく伝えます。
ただし、甘やかしには注意です!
「今回だけ特別!」や「おねだりされるから抱っこしてあげる。」は人の考え方です。
犬は「ありがとう。やっぱりやさしいな。」と思っているのではなく、
「やってくれた!次もやってくれるだろう!」と考えていると思ってください。
私が考える「犬との信頼関係」とは
「心が通じ合う」という言葉はすてきですが、この人間目線の考えがあると、犬との関係に誤解を生じやすくなってしまいます。
私が考える犬との信頼関係の意味は、「犬にとって、安心で安全でメリットのある人になること。」です。
ちょっとたんぱくに感じる方もいらっしゃるかもしれません。
これをベースにしつけをすることで、「この子はわざとやってる。」「知らん顔している。」という複雑なことを考えず、犬にシンプルに伝えることができます。
犬と信頼関係を築くためには
1.人間社会のルールを教える
「問題行動」とは、人にとっては問題でも、犬にとっては正常な行動なことがほとんどです。
「吠え」「トイレの失敗」「お散歩での引っ張り」など、どれも犬にとっては当たり前の行動パターンです。
「それはしてほしくない」ということは、犬にその都度伝えなければいけません。
- してほしいことをした時は、ほめる
- してほしくないことをした時は、ちがうと伝える
また同じことをした!と思う状況でも、犬にとっては同じ状況とは感じていないことがほとんどです。
一回で理解することは難しいので、分かるまで伝える必要があります。
してほしくないことをした時に、驚かせたり、激しく叱る必要はありません。
「ちがう」の合図を理解することで、お互いストレスなく理解し合うことができます。
人間社会のルールを教えることで、愛犬も「飼い主さんが決めてくれるから安心」と穏やかに過ごすことができます。
これが頼れる飼い主さんにつながっていきます。
ルールが分からないと、愛犬は不安になり自分でルールを決めようとしてしまいます。
その結果、「物音がしたら吠えて警告する」「トイレはここにしよう」と人が困る行動へ発展してしまうのです。
また、良い悪いの線引きがはっきりせず、怒られる時と怒られない時がある状態も、愛犬を混乱させ、自分ルールで動くきっかけになってしまいます。
2.安心できる人になる
犬にとって「安心できる人」とは、色々な要素があります。
ルールの線引きがしっかりしていることはもちろん、動きが速くない、急に大声を出さない、寝ている時に起こさない、などその人の日常の動きが大きく関係します。
愛犬がそばにいて居心地がいいことが大切です。
よく「犬が家族の中で一番好きな人はお母さんだ。」と順位をつけて話すことがありますよね。
私は、順番ではなくレベルだと思います。
犬が「慕っている順」というよりは、「安心できるレベル」だと思います。
やっぱり長い時間一緒にいて、ごはんやお世話、コミュニケーションを取ってくれるのは家族の中でお母さんが一番のことが多いです。
急に走ったり、大声を出したりすることも少ない(ですよね?)ので安心できる人になりやすいです。
子どもたちも犬との接し方が分かれば、犬にとって「安心できる人」になれるので、諦めずにがんばってください。
まちがえやすいしつけ方法
つい犬を擬人化してしまったり、「何でも言うことを聞かせないと!」と上下関係を意識してしまうと間違ったしつけをしてしまうことがあります。
うっかりやってしまっていないかチェックしてみてください。
1.お散歩で犬が前を歩くことを偉そうだと思う
犬は決して自分がリーダーだと思って、人の前を歩いているのではありません。
人が2足歩行に対して、犬は4足歩行です。
ただでさえ歩く速さに差があります。
さらに、多くの犬はお散歩が大好きで、外からの情報を夢中でキャッチして歩いていきます。
教えていなければ前を歩くのは自然なことなので、心配することはありません。
ただし、犬が前を歩いていると、危険なものから犬を守れなかったり、リードを引っぱって体に負担をかけやすくなります。
そのため、犬は人の横を歩くように教えます。
教えることは同じでも、理由が違うだけで教えるときの気持ちが変わりますよね!
正しい理由を知っていれば犬の目線でわかりやすく伝えることができるようになります。
2.犬は人より先にごはんを食べてはいけないと思う
オオカミ伝説からきた文化です。
みなさんお気づきだと思いますが、犬は先に食べようが後に食べようが、食べられればよさそうですよね。
犬が先に食べた日は、ちょっと優越感にひたっているということはないと思います。
食に対する執着は育ってきた環境によってかなり変わります。
特に保護犬で空腹を経験していたりすると、危険なほど執着することがあります。
我が家の保護犬も執着気味です。
犬がごはんを食べている途中にお皿を触ったら、うなるのは当然です。
信頼関係があれば、いつでもごはんのお皿を取り上げられるようになるわけではありません。
ごはんを取り上げてもうならない子は、食に執着が強くないか、飼い主さんがまた戻してくれるのを知っていて安心感があるからです。
無理に取り上げようとする必要はありません。
まとめ
- 現在の犬とのいい関係性は「上下関係」ではなく「親子関係」
- 飼い主が犬のリーダーになり、上に立つ必要はない
- 犬について正しく知ることで、同じしつけでも、犬目線でわかりやすく教えられるようになる
私が考える犬との信頼関係とは、
「犬にとって、安心で安全でメリットのある人になること。」